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少年の姿を見て、お医者様は目を伏せ、少女の側から離れました。
「僕は君を助ける為に一生懸命頑張ったんだ。君が元気になれるように祈りながら。」
少年は、少女の側に進みよりました。
そして、少女の小さな口にスープを運んだのです。
するとどうした事でしょう。少女の顔に赤みが戻って来ました。
少年は目を疑いました。
「お医者様、この娘の顔に赤みが・・・」
少女はゆっくりと、目をあけました。
少年は再び涙しました。さっきまでの悲しみの涙ではありません。
笑顔からこぼれていく嬉し泣きだったのです。
少年は少女に語りかけました。
「僕が見える?僕の声が聞こえる?」
少女はゆっくりとうなづきました。
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