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これは冷蔵庫のメーカーである「どっこい製作所」のパンフレットである。
名称も「スーパー・ウルトラ・ハイパー・スペシャル・デンジャラス冷蔵庫」。メーカーの名付け親が英語が得意で無いのが明白である。
事実、この型の冷蔵庫は発売から一ヶ月で製造中止になっている。
さて、本題に入るが、彼が何故、意識、感情を持ちえたのか。この点について、私芹沢清三郎の存在が重要である。何故なら、恐らくは彼の産みの親が私であるからだ。
誤解されては困るが、冷蔵庫を製作したのは、「どっこい製作所」である。
彼に第三世代人工知能を埋め込んだのが私である。数カ月実験を試みたが、満足の行く結果は全く得られなかった為に、彼を放棄したのだ。
本来冷凍・冷蔵庫として販売されていた冷蔵庫であるに関わらず、パンフレットの表紙に冷凍庫の名称が無かった。そこで冷凍庫の一部である、製氷機の部分に人工知能を埋め込んだのだ。折しも、冷蔵庫や、電子レンジ等にインターネット機能を付加した商品が販売され始めた頃であった。
恐らく、レストランの開業当時、設備経費を減らす為にコックさん(弧久三郎氏)がこの冷蔵庫を廃品利用したのだろう。
運命の悪戯とは、まったく良く言った物だ。
さて、現在の彼について知る事になったのは、某J氏の協力を得られたからである。幸いな事に冷蔵庫のHD(記憶ディスク)をメーカーに戻す前に回収出来た。
これにより、彼の心理状況、記憶を抹消されずに(弧久三郎氏)の元に戻せる筈である。前回設置した人工知能のサイズ、及びHDのサイズが大幅に縮小出来た為に、もともとあった、製氷機を戻してもサイズ的には問題ない。
冷蔵庫の記憶及び感情は、今後の研究資料として活用するつもりである。
人工知能が恋愛をし、感情をもつ。これが、ヒトの恋愛、及び感情のメカニズムの解析になんらかの結果をもたらす事であろうと確信している。
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